ミラー刺繍

●インド北西部の伝統的刺繍。

ミラー刺繍は、1つ1つ鏡を刺繍の中に縫い込んでいくのが特徴のインド北西部の伝統的な刺繍です。色鮮やかで繊細な刺繍は、ひと針ひと針に思いを込めて、全て手刺繍で仕上げています。
砂漠地帯であるこの地方では鏡を衣装や小物に刺繍し身にまとい、太陽が反射する光によって砂漠の中で遠くからでも自分の存在を知らせたとも言われ、また魔除けの意味合いもあると言われています。

●修道院で始まったスラムの女性たちの仕事づくり

ミラー刺繍製品を生産しているのは、インド北西部のグジャラート州の州都、アーメダバードにある修道院です。スラム街の入り口付近に位置し、経済的に恵まれずスラムに住む社会的地位の低い女性たちを中心に、この地域の伝統的なミラー刺繍の商品を作り販売し、彼女たちに現金収入の機会をもたらす仕事づくりを行っています。
スペイン系の修道院としてこの地に根付いたですが、スラムの女性たちの窮状を知るにつれ、なにかできないかという思いがシスターたちの間で強まり、スペイン人のシスター・ルシアは自身が好きだった刺繍や裁縫を使って、この地の伝統的なミラー刺繍を使った商品づくりをしようと思いつきました。

教育を受ける機会がなく読み書きもままならない女性たちは、社会的にだけでなく家庭内でも低い地位に甘んじていることが多く、「ここの仕事によって女性に現金収入があることで、夫や義父母の自分に対する態度が協力的に変わった」と言うスラムの女性たちの話しぶりは、目が輝き堂々と見えます。
毎年ボーナスとして、余剰金をワーカーの女性たちで分配するシステムもあり、何が欲しいかを皆で話し合って決めます。欲しかった鍋や調理器具などボーナスで手にした女性たちはとてもうれしそうです。スラムで、たった数人に刺繍を教え始めましたが、現在は300~400人の女性たちに仕事を創り出せるまでになっています。

●ミラー刺繍の製品ができるまで

1.生地にチャコペンで刺繍の模様をトレースし、刺繍糸とセットにして女性たちに渡します。

2.女性たちは、生地と刺繍糸を持ち帰り刺繍を施します。自宅や、セントメリーで教わりながら刺繍する人など様々です。

3.刺繍が指定通りか、丁寧な仕事か等、厳しいチェックを行い、チェックを通過した者のみに、次の仕事の生地と糸が渡されます。

4.できあがった刺繍のパーツは、一度洗ってチャコペンの跡を落とします。

5.洗った後に1枚ずつ干し、各パーツを縫製して完成。

●岩崎安奈から見た働く風景

インド在中岩崎さんがこの修道院に長期滞在していたのですがその時岩崎さんが感じた言葉を紹介します。

「ひと針ひと針刺繍が施され、美しい模様が出来上がっていく様を初めて見た時は、ただただ心を動かされ、涙が出そうになりました。「きれいだね」と言うと、「ありがとう」と嬉しそうに答えてくれます。
私は特別ミラー刺繍に思い入れがあったわけではありませんでした。もちろん可愛いと思っていましたが、それは「売り物として当然」なレベルの話で、手作業の温かさも、女性達の笑顔も、想像したことがありませんでした。
今はそれを伝えていきたいし、守っていきたいと思います。一つの小さな商品が持つ、値段以上の大きな意味を目にして胸が一杯になった時の感動を、一人でも多くの人に感じてもらいたいです。」

2018年から販売しているオーナメントは生産者と岩崎さんが一緒に作り上げた製品です。2019年も新しいデザインのオーナメントがお目見えしますのでご期待ください。

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